Microsoft x64 呼び出し規約
x86はcdeclやstdcall, fastcallなどいくつかの呼び出し規約がありますが、x64はfastcallしかありません。
引数
- 第1引数 rcx もしくは xmm0
- 第2引数 rdx もしくは xmm1
- 第3引数 r8 もしくは xmm2
- 第4引数 r9 もしくは xmm3
- 第5引数以降 スタック
第1引数から第4引数については型によって以下のような値が渡されます。
- 整数型、1, 2, 4, 8バイトの構造体、__m64 は汎用レジスタに値として渡される。未使用上位ビットはクリアされない。
- float/double はxmmレジスタに値として渡される。未使用上位ビットはクリアされない。
- 上記以外(1, 2, 4, 8バイト以外の構造体、__m128)は汎用レジスタにポインタとして渡される。ポインタは16byteでアラインメントされている。
戻り値
- 整数型、1, 2, 4, 8バイトの構造体、__m64 はraxに値として返される。
- float/double/__m128 はxmm0に値として返される。
- 上記以外は関数呼び出し時の最初の引数(rcx)として戻り値のポインタを渡し、そのアドレスに戻り値の内容がコピーされる。raxにはそのポインタ(つまり第1引数と同じ値)が返される。 第1引数が戻り値のポインタとなるため、関数の本来の引数は第2引数以降に渡される。
呼び出し直後のスタック
関数呼び出し時は呼び出し側で32バイト以上のスタック領域を確保してからcallを行う必要があります。32バイトというのはレジスタ渡しとなる4つの引数をスタックに退避するのに必要となるサイズです。これは呼び出したい関数の実際の引数が3つ以下のときでも確保しておく必要があります。確保したスタックの中身は未初期化のままで構いません。5つ目以降の引数はそれに続くようにpushされます。
さらにもう一つの決まりとしてcall直前のスタックポインタが16バイトアラインされている必要があります。
引数が4つ以下の関数を呼び出した直後のスタックの状態 |
引数が5つの関数を呼び出した直後のスタックの状態 |
参考
x64 ソフトウェア規約(MSDN)x64: Starting Out in 64-Bit Windows Systems with Visual C++
The Old New Thing : The history of calling conventions, part 5: amd64
2 コメント:
戻り値の__m128はxmm0で値返しされるようですので、そのように説明を修正しました。
スタックのアラインメントの記述が間違っていたので修正しました。
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